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新築の打ち合わせのとき、住宅メーカーの担当者に「オール電化にしますか、ガスにしますか」と聞かれた。当時は何が違うのかもよくわからなかったが、「ガス代ゼロになるし、IHは掃除が楽」という説明に押されてオール電化を選んだ。
あれから2年が経った。ガス代は確かにゼロになった。でも「お得かどうか」は単純に判断できない。2年間の電気代データと生活の変化を正直に書く。
我が家のオール電化システム構成
- 給湯:エコキュート(パナソニック HE-J46KQS、460L)
- 調理:IHクッキングヒーター(パナソニック KZ-AN76S)
- 暖房:エアコン×3台(各部屋)
- その他:電気乾燥機付き洗濯機、食洗機
- 電力契約:東京電力 スマートライフS(オール電化向け料金プラン)
オール電化向けの料金プランは、夜間(23時〜翌7時)の電気代が安い代わりに、日中の電気代が通常プランより高いという構造だ。
入居前の見込みと実際の差
住宅メーカーからの説明では「オール電化にすると光熱費が月8,000〜10,000円程度になる目安」と言われていた。ガス+電気の時代(以前の賃貸)は電気代約6,000円+ガス代約5,500円=月約11,500円だったので、「少し安くなる」というイメージだった。
実際の2年間の月別電気代はこうだ。
| 月 | 1年目(円) | 2年目(円) | 前年賃貸(電気+ガス) |
|---|---|---|---|
| 1月 | 28,400 | 26,800 | 18,200円 |
| 2月 | 26,200 | 24,600 | 16,800円 |
| 3月 | 18,500 | 17,200 | 12,400円 |
| 4月 | 11,200 | 10,800 | 8,200円 |
| 5月 | 9,800 | 9,200 | 7,600円 |
| 6月 | 10,400 | 9,800 | 8,100円 |
| 7月 | 18,600 | 17,800 | 13,400円 |
| 8月 | 22,800 | 21,200 | 15,800円 |
| 9月 | 17,400 | 16,500 | 12,200円 |
| 10月 | 11,600 | 10,900 | 8,400円 |
| 11月 | 14,200 | 13,400 | 10,600円 |
| 12月 | 22,600 | 21,800 | 16,200円 |
| 年間合計 | 211,700円 | 200,000円 | 約149,900円 |
賃貸時代の光熱費と比べると、年間で約5万〜6万円高い。「安くなる」という想定が完全に外れた。
なぜ高くなったのか
理由1:住居の面積が広くなった
賃貸時代は1LDK(約35㎡)。今は3LDK(約100㎡)。面積が約3倍になれば暖冷房の電気代も増える。単純比較自体がフェアではなかった。
同じ面積・同じ家族構成で比べる実験ができないので、この点については「変化の要因が複数ある」とだけ言える。
理由2:エコキュートの深夜電力が思ったより多い
エコキュートは夜間に電力を使ってお湯を沸かし、タンクに溜める仕組みだ。深夜電力(23時〜7時)は安い(スマートライフSでは約17円/kWh)ので、光熱費効率は良い。でも「使っていない時間帯に大量の電力を消費する」という事実は変わらない。
エコキュートの年間消費電力量はパナソニックの仕様書によると、460Lタイプで年間1,020kWh程度(JIS試験値)。1,020kWh×17円(深夜単価)=約17,340円がエコキュートだけの電気代だ。
ガス給湯器の場合、同等の使用量で年間ガス代は約24,000〜28,000円程度かかる(地域・単価によって異なる)。この比較ではエコキュートの方が安い。深夜電力を活用できていれば、給湯コストは確かに下がる。
理由3:日中の電気代が通常プランより高い
スマートライフSの昼間単価は約38.1円/kWh(従量料金第3段階)。通常の従量電灯Bは同帯域で約34円/kWhなので、昼間に電気を多く使うと割高になる。
在宅勤務が多い時期は昼間の電気代がかさんだ。エアコンで部屋を暖めながら作業する冬の在宅日は、1日2,000円以上の電気代になった日もある。
深夜電力の活用で生活が変わった
オール電化に切り替えてから、生活リズムが変わった部分がある。
- 洗濯機は23時以降に回す:タイマーで深夜にスタートするよう設定した。電気代が昼間の約半分以下になる
- 食洗機は夜11時以降にセット:同様に深夜電力を使うよう習慣化した
- エコキュートのタンクに余裕を持たせる:夏でも「満タン設定」のまま運転していたが、夏は設定を「少なめ」に変えることで無駄な電力消費を減らした
これらの工夫で、2年目は1年目より年間11,700円節約できた。習慣を変えるだけで効果が出るのは正直驚いた。
IHクッキングヒーターの使用感
IHについては「使いやすい」が正直な感想だ。
メリット:
- 天板がフラットで掃除が圧倒的に楽。ガスコンロの五徳を洗う手間がなくなった
- 火が出ないので小さい子がいる家庭でも安心感がある
- 温度調節がデジタルで正確
デメリット:
- IH非対応の鍋が使えない。入居後にフライパン3本・鍋2本を買い替えた(約15,000円の出費)
- フライパンを「振る」調理がやりにくい(天板から離すと加熱が止まる)
- 炒飯がガスより美味しく作れない(個人的な感想)
停電時のリスク——これが一番のデメリット
オール電化の最大のリスクは、停電時に全ての機能が止まることだ。ガス併用なら停電しても給湯器(ガス式)でお湯を出せたり、カセットコンロで調理できたりする。オール電化では停電=お湯も出ない、調理もできない、暖房もつかない状態になる。
幸い、我が家では2年間で長時間の停電は経験していない。ただし、台風や地震で数時間〜数日の停電が起きた場合を想像すると、ガス不使用の脆弱性は否定できない。
対策として、カセットコンロ3缶分のガスボンベを常備し、簡易ポータブル電源(Jackery 240)を防災用に用意している。これで一定時間はスマートフォン充電やLED照明は維持できる。
太陽光発電パネルと蓄電池があれば停電対策になるが、コストが大きい。現時点では対策が不十分と自覚している。
2年間の総括:オール電化はお得か
結論:「お得かどうか」は比較の前提次第で変わる。ガス代が完全になくなる代わりに電気代が増え、住居の広さや生活パターンによって損益分岐点が変わる。
我が家の場合、賃貸時代と比べると光熱費は増えた。ただしこれは面積増加・人数変化の影響が大きく、「オール電化だから高い」とは言い切れない。
深夜電力を意識的に活用するようになった2年目は、1年目より確実に電気代が下がった。深夜シフトの習慣化はまだ伸びしろがあると感じている。
オール電化を検討している人へのアドバイスは1つだ。「月いくらになるか」の試算を、住宅メーカーの見積もりだけでなく自分でも計算すること。現在の電気代・ガス代・使用量・新居の面積を元に、具体的な数字で比較してほしい。営業トークの「お得」は目安に過ぎない。
